櫻葉12天界に咲く花

12天界に咲く花

だ、れ、、?

振り返ったら、僕を睨み付けるように怖い顔をした男の子が立っていた。

俺、翔!

お前、まさき、だろ?

相葉さんとこの

うん、、そうだけど。

おじさんも、おばさんも心配してる。

まさきがいないって、みんな心配してんぞ!

う、そ、、。

どうしよう。

ごめんなさい

俺に謝ったって、仕方ねーし!

いいから、帰るぞ!

翔ちゃんは、僕の手を引いて、一目散に走り出したんだけど。

僕は、すぐに息苦しくなって走れなくなった。

そしたら、おんぶして、また走ってくれたんだ。

僕をおんぶしながら、ごめんって何度も謝ってきて、大丈夫か?って、いっぱい心配してくれた。

本家に戻ると、おじさんも、おばさんも、みんなが翔ちゃんに感謝してくれたのが、なんだか嬉しくて、僕は、寝かされた布団の中からこの人は、男の中の男だよ!って自慢しちゃったぐらい。

その日から、僕に、翔ちゃんという友達が出来た。

まだ学校に行ってなかったけど、翔ちゃんは、学校が終わると毎日のように遊びに来てくれた。

それから、僕がまた学校に行けるようになった時には、遠い学校まで、手を引いて連れて行ってくれた。

手を繋いでいて友達にからかわれても、まさきは身体が弱いんだから仕方ないんだぞ!って庇ってくれたし、手術だってしたことあるぐらいすごいんだぞ!って、何故か自慢するみたいに言ってくれた。

友達も手術すげー!ってなって、僕が、すぐにみんなと打ち解けることが出来たのも、ぜーんぶ翔ちゃんのおかげだったんだ。

翔ちゃんは、よく夕飯を食べて帰ったんだけど、出されたお握りを口一杯に頬張って、頬っぺたがまぁるくなってるのが、とても可愛くて。

それを見るのが大好きだった。

なぁ?

この花の、どこがそんなにいいわけ?

なんかあれだろ?

毒があってさ?

摘んだら、死人が出るんだっけ?

三つ目のお握りで、頬っぺたをパンパンにしながら、指についたご飯粒まで同時に食べようとする。

翔ちゃんは、曼珠沙華より、お握りに夢中。

悲しき思ひ出曼珠沙華

毒花死人花地獄花

すべてをあきらめ投げ出して

狐の松明引っ提げて

また会ふ日までを楽しみに

天界に咲く曼珠沙華

想ふはあなたただひとり

なんの歌?

おじいちゃまが時歌ってるの。

曼珠沙華には、悪い意味もあるけど、いい意味もたくさんあるんだぞ!って。

想うはあなた、ただひとり、か。

へー、なんかロマンチックだな。

そう、僕もね、そう思ってる。

翔ちゃんと、友達から、恋人になって、想うはあなたただひとりって言葉が、胸に響いたんだ。

でもね、それだけじゃなかった。

僕は、翔ちゃんの肩にぺたんっと頭を乗せて、ずっと思ってたことを口にした。

つづく

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