不思議な運命に惑わされ

人生に、或る日突然訪れた予期せぬ幾つかの大きな出来事を機に、大胆にも海外移住を考え、選んだ先が若い頃旅行中にたまたま出会い、その後も文通を続けてきた女性友達のいるスペインになりました。海外移住のきっかけをたった三行の文でまとめてしまいましたが、生まれながらにして大変臆病な私を、日本を去り、ひとり異国の地で生活しようと云う無謀な行動に走らせた出来事がたまたま起こらなければ、また、一期一会のような出逢いのこのスペイン女性の存在がなければ、この二つのどちらのきっかけが欠けても、私が日本を出て海外で暮らすことは決してなかったと確信しています。

しかし、スペインへ来るきっかけが何にせよ、東の果ての遠い島国から異国の地の文化に触れて生活できる日本人の一人として、不思議としか思えないこの運命を人生の新しい扉を開けるチャンスにしたいと期待しました。

と言ったところで、私には特別な能力があるわけでもなく、また、長い付き合いの女性友達移住前後、特に移住前の計り知れない精神的不安に対する非常に大きな支えでしたがいた以外スペインに特別な関心があったわけでもないので、末端の世界で生きる一人の日本人として私にできる事は、スペイン人との交流を広め、特に戦後日本が歩んできた軌跡、そこから生まれた現代の日本を知って貰うこと。過っては鎖国、近年では戦争の大敗で世界の進歩、発展から完全に取り残された日本を立て直す為、海外から大いに良い物を取り入れ、勉強し、学び、自国に残る悪しき習慣を排除し、良き習慣伝統は守り、世界で唯一無二の国にしていく為の日本人の国造りへの希望とたゆまぬ努力を伝えていくことが海を渡ってしまったひとりの日本人としての勤めであると考えました。

それには、先ずは、言葉を学ばなければなりません。それまでの友人とのコミュニケーション手段は英語でしたので。スペイン語の習得から始めなければなりませんでしたまた、この言葉をなんとかマスターできたならば、言葉で困っている、或いは、経験がなく一人で困っている日本人の手助けを少しでもできないものか?と願っていました。